虫歯治療や歯周病治療、入れ歯の作製、クリーニングなど、歯科医院で受ける通常の治療を一般歯科といいます。
近年、審美歯科、矯正歯科、口腔外科などの専門的な歯科治療が浸透しているため、これらと区別する意味もあります。
一般歯科治療の多くが保険診療で行われるので、保険診療=一般歯科という考え方もありますが、同じ治療内容でも使用する材料などによっては自費診療になる場合もあります。
不正咬合には、主に以下のような症状があります。
- 叢生(八重歯、乱ぐい歯)…歯がデコボコになっている
- 上顎前突(出っ歯)…上の前歯が前に傾いていたり、歯全体が前に出ている
- 下顎前突(受け口)…下の歯が上の歯より前に出ている
- 開咬…歯が上下で噛み合わない
- 過蓋咬合…上の歯が下の前歯が見えないくらい深く咬み込んでいる
- 空隙歯列…隙間が多い
このような歯並びをきれいに整った歯並びへと改善させるのが、矯正歯科治療です。
矯正歯科治療を受ける方には、見た目の悪さを改善するという目的がありますが、歯並びの悪さが影響するのは見た目だけではありません。
以下のように、全身の健康にまで悪影響を及ぼすのです。
- 歯と歯の間、歯と歯茎の間に歯ブラシを当てにくく、磨き残しが出て虫歯や歯周病になる
- 食べ物を十分に咀嚼できず、消化器官に負担がかかる
- 歯の隙間からの空気のもれや、舌の動きの制限などが起こり、発音しにくくなる
- 顔のバランスが崩れて歪むなど、顔貌が変化する
- 噛み方が偏り、顎の関節への負担が大きくなる
- 頭痛、肩こり、腰痛など全身の不調の原因となる
- 口元が気になって積極的なコミュニケーションがとれず、精神的負担になる
このように歯並びの悪さは、肉体的にも精神的にも影響を及ぼします。
矯正治療によって歯並びをきれいに整え、噛み合わせを改善することは、見た目の美しさだけではなく体や心の健康維持にもつながります。
矯正装置にはさまざまな種類があり、特徴やメリット・デメリットもそれぞれ違います。歯科医師に相談しながら、ご自分の歯並びやライフスタイルに合った矯正装置を選ぶようにしましょう。
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金属ブラケット
歯の表側に金属製のブラケットを装着します。
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審美ブラケット
白や透明なので金属よりも目立ちませんが、表側に装着するので装置が見えます。
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セルフライゲーションブラケット
ワイヤーとブラケットの摩擦力を抑えた装置で、痛みを軽減して効率的に治療できます。
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マウスピース矯正
取り外し可能な透明の薄いマウスピース型の装置を装着します。
一般的な矯正治療の流れは、以下のようになります。一般的な矯正治療の流れは、以下のようになります。
Step1 ─ 初診相談(約30~60分)
治療の必要性、治療方法や使用が予測される装置、治療期間・費用についてご説明します。
Step2 ─ 精密検査(約60分)
歯型の採取、パノラマレントゲン写真撮影、セファログラム(頭部X線規格写真)などで、治療計画を立案するための検査を行ないます。
Step3 ─ 治療計画の説明(約30~60分)
検査結果が判明した後、治療期間・費用を含めて患者さまに合った治療計画をご説明します。
治療方法や装置の選択が可能であれば、それぞれのメリット・デメリット、治療期間・費用の違いなどについて納得できるまで確認することが大切です。
Step4 ─ 治療開始、歯磨き指導・口腔内清掃
矯正装置を装着するタイミングや治療の進め方は、症状によって異なります。
装着後、虫歯や歯周病を予防するため歯磨き指導や口の中の清掃を行ない、衛生管理についてご説明します。
Step5 ─ 矯正装置の取り付け、動的治療開始(約3~6週間に1回)
一般的に3~6週間に1回の通院が必要となりますが、治療の段階によって異なります。
治療の進行を妨げないよう、予約日には必ずご来院ください。
Step6 ─ 保定(1.5~2.5年)
矯正装置を外した後の歯は、放置すると少しずつ動いて元に戻ってしまいます。それを防ぐため、骨や歯周組織が安定するまでリテーナー(保定装置)を装着します。
一般的に通院は2~6ヵ月に1回程度で、時間が経つにつれ少しずつ頻度を下げていきます。
症例1 ─ 小児 反対咬合
反対咬合には
①上顎が下顎に対して成長不足
②下顎が上顎に対して過成長
大きく分けてこの2種類あります。もちろん、骨格的なものでなく歯の軸に限局して起きる場合もあります。
①の場合は、上顎前方牽引装置により、成長を促します。
②の場合は、チンキャップとよばれる装置により、成長を抑制します。
症例 2 ─ 上顎前突
症例にもよりますが、基本的には前から4番目の歯(第一小臼歯)を抜歯して
前歯部の歯を後ろに下げ、きれいに並べていきます。
症例 3 ─ 小児・拡大症例
顎の成長期に、歯の生えるスペースが不足することによって歯列不正が起こることがあります。
そこに矯正装置を使用することにより、顎を拡大して歯列を正していきます。
拡大装置のみで改善する場合もありますが、基本的には、永久歯列になってから
ワイヤーとブラケットを使用したワイヤー矯正に移行し、全体の歯並びや噛み合わせを治療することが多いです。
症例 4 ─ 叢生
歯の生えてくるスペースが不足している場合、一般的には前から4番目の歯を抜歯して
スペースを作り、そこにきれいに歯を並べていきます。